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わくわく着物~着物の愉しみ~ 臥竜亭へようこそ!

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骨董-ハ

■□■骨董ノンフィクション(1)■□■

◆「ハットリ邸古民家新築プロジェクト 骨董市で家を買う」著:服部真澄◆
◇中央公論社刊/1998年11月発行(当時1400円+税)◇


「…家を建てるって、格闘技だ」。読後、思わず呟いてしまう本。題名の通り、骨董市で古い民家(日本昔話に出てきそうなヤツね)を買い、移新築して住む、という体験本です。今は(って、それほどワタクシ年寄りではございませんが)ハウスメーカーの台頭で、家を建てることが男子一生の仕事ではなくなりつつありますが、古民家を解体して、運搬し、今の生活にあった家に建て直す、という事は、なんて手間暇のかかる大仕事なのか、ため息が出ます。あ~、大変!
 作者の服部さんは、1995年「龍の契り」でデビュー、いきなり直木賞候補になり、次作「鷲の驕り」で吉川英治文学新人賞を受賞という実力の作家さんです。さすが一気に読ませてしまう迫力がありますが、それもそのはず、服部さんの実体験を、服部さんのご主人が語る、という格好の仕立てになっています。
 骨董市に古民家(本物じゃなくて写真)を見に行くところから話は始まり、福井県まで建っている古民家を見に行き、骨董屋さんと駆け引きし、新しい我が家に夢をはせ、遅々として進まない工事に業を煮やし、ついには工事中の家に引っ越しという超強行軍! 
『うへぇ、大変。こんなコト、とっても真似できない』とは思いつつも、いつしか『…イイなぁ』と呟いている自分がおります。だって、服部さん、なんかすっごい楽しそうなんだもん。
 とはいっても、やはりかなりお金にも時間にも余裕がないとできなさそうだし、なにより施主に情熱とガッツが求められるようではあります。「民家を持ちたい、買いたい、住みたい!」。言葉にはパワーがあり、実現させたいことは繰り返し口にする主義の服部さんが、こう呪文を唱え続け、建てちゃった古民家。ならば私も…!
 別に家を買うことに興味がなくても、骨董市って、こんなモンまで買えるんだな、というのもおもしろいし、古い物を大切に活かしたい、と思ったときに日本の構造が見えてくるのもおもしろいですよ。



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